東アラブ料理

中東は何かと話題に上る気がするが、中でもレバノンと言うと妙に馴染みがある気がする。楽器ケースに詰め込まれたおじさん、ベイルート港爆発事故、機長の体調不良...全て連想したあなたには、インターネットデトックスをお勧めします。そうでなくても、レバノンは地中海の歴史と切り離せないため、レバノン杉、カルタゴ...色々連想できることはある。しかし、この国の文化についてどれだけ知っているかと問われると、解答に窮する。

食文化で見たレバノンは、東アラブ(歴史的シリア)地域の料理と括れるそうだ。ここで東アラブというのは、イランより西でエジプトより東、サウジアラビアより北側でトルコより南側の地域を指す。料理は、トルコやエジプトに近いので、それらのものに非常に似通ってはいるが、微妙な差分があるようだ。例えば、トルコやエジプトでは、オリーブオイルの利用は控える傾向があるのに対して、東アラブ地域では多用されるようだ。他にも、トルコではニンニクが控えめだが、エジプトや東アラブ地域では多用されるなど。*1

この地域において、料理の種類は数多く、フブズ(≒ピタパン)を基本として、ホンモス(ひよこ豆のペースト)、クッべ、ケバブ...枚挙にいとまがない。イスラム圏ではあるが、ユダヤ教徒キリスト教徒の割合も低くはないので、飲酒には寛容な傾向があるようで、酒としては、アラク(白葡萄の蒸留酒)が定番云々。このような座学も結構だが、百聞は一見に如かず、一意専心食べるのみだ。

パルミラ

ということで、行ってみたのが池袋にあるレストラン「パルミラ」である。ホンモスを食べてみたいので、タンノリンコース(サラダ・アラブパン・ペースト・ケバブ)を頼んだ。

アラブパンとペースト3種

このお店には、アラクも若干期待して行ったが、酒類は置いていなかった。代わりにフルーツジュースの品揃えはかなりのものであった。待望のペースト三種は、パンに付けて食べ比べると楽しいが、パンに主張がないので、ペーストを舐めている気分にならないでもない。個人的には焼きなすのペーストが一番好みだった。この日は本調子ではなかったかもしれないが、全体的に量が多いと感じた。料理は全体的に、これといった癖もなく、非常に食べやすい味わいであった。

同行者から聞いた学生の飲み会文化の話の方がどうにも印象に残っている。

CARVAAN Tokyo

CARVAANは、古代ペルシャ語で隊商(キャラバン)を表すとのことだが、古代ペルシアとアラブを関連づけていいのか?という疑問を若干抱きながらも、昼食を食べに行ったこの店。

ゾロアスターカレー

どうにも、ペルシアという単語に引き摺られたのか、うっかりゾロアスターカレーというアラブ要素をあまり感じない料理を選択してしまった。言ってしまえば、チキンカレーではあるが、インドカレー屋で食べるようなくどさは感じず美味しい。全体的にかなり高価だと感じるが、好ましいものを感じたので、次はアラビアン・ランチコースにでも挑んでみたいものである。

*1:「世界の食文化 10 アラブ」 ISBN 9784540060038